関東の独立ヤクザ組織の1つに双愛会があります。双愛会は神奈川県と千葉県を活動範囲とし、構成員数約190人を抱えています(*1)。双愛会は1952~1954年頃に設立されました(*2)。「銚子のカポネ」と言われた初代会長・高橋寅松が舎弟として仕えた人物に笹田照一がいます(*3)。
笹田照一は戦前から戦後において横浜港の港湾荷役業の親分の1人として活躍、その後千葉県一帯を旅する中、自身の舎弟や子分を沢山持つようになります(*4)。「笹田照一の舎弟・子分」達が集まり誕生したのが双愛会です。よって笹田照一は現在も双愛会の「始祖」として位置づけられています。笹田照一は山口組三代目組長の田岡一雄と、五分の兄弟分の盃を交わしています(*5)。以後も、双愛会は山口組と同盟関係を結んできました。現在でも山口組組長の司忍が、双愛会七代目会長・椎塚宣の後見人を務めていきます。
双愛会の組織形態は、長らく各2次団体が水平的関係をとる連合型でした。1次団体・双愛会トップに位置付けられる会長と各2次団体トップに「親分-子分」の関係はありません。会長職は「調整役」の意味合いが強かったです。しかし2007年に開始した六代目会長・塩島正則体制(2007~2016年)から、1次団体と2次団体の関係が垂直的に改められ、1次団体トップ(六代目会長・塩島正則)と各2次団体トップの間で親子盃が交わされました(*7)。現在の七代目会長・椎塚宣体制下でも、1次団体トップと各2次団体トップの親子盃が交わされています。双愛会を構成している2次団体は6つです。唯一の神奈川県勢の谷戸一家(横浜市)、千葉県勢の畔田吉清一家(鴨川市)、寺島一家(市原市)、吉田一家(市原市)、上金一家(銚子市)、高寅一家(銚子市)の6つです(*8)。市原市は東京湾に面する地域にあり、鴨川市と銚子市は太平洋に面する地域にあります。寺島一家出身の椎塚宣は現在も寺島一家総長を兼任、また高寅一家は現在トップ不在の状態が続いています(*9)。
<引用・参考文献>
*1 警察庁「平成27年の暴力団情勢」, p28
*2 『実話時代』2016年8月号, p16
*3 同上, p17
*4 同上, p16~17
*5 同上, p17
*6 同上, p18
*7 同上, p17
*8 同上, p16
*9 同上, p16
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