忠成会と松浦組

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 兵庫県神戸市に拠点を置き、暴対法の「指定暴力団」に指定されていないヤクザ組織として知られるのが、忠成会と松浦組です。同じく神戸市を本拠地とするのが日本最大の指定暴力団・山口組です。忠成会は太平洋戦争後、神戸市の繁華街・新開地で地盤を築いてきました(*1)。忠成会は谷崎組という組織を源流とします(*1)。谷崎組は1954年山口組と抗争を起こします(*1)。抗争は和解と至りましたが、谷崎組は直後に解散します(*1)。1950年代後半以降全国各地に進出する山口組との抗争は、谷崎組に大きな損害を与えたことは想像に難くありません。

 旧谷崎組勢力はその後、新生会を立ち上げます(*1)。しかし1967年新生会は内部抗争により解散します(*1)。新生会の幹部らによって再度結成されたのが忠成会です(*1)。トップの会長に就いたのが大森匡晃です(*1)。

 忠成会は神戸市兵庫区に本部事務所を置くものの、三木市など兵庫県全域で活動していました(*2)。大森匡晃会長体制のある時期、忠成会の構成員は96人でした(*2)。忠成会は神戸市福原の風俗店からミカジメ料を徴収していました(*2)。風俗店から忠成会に入るミカジメ料は、一日で数百万円とされていました(*2)。仮に1日のミカジメ料が200万円とし、月額(30日分)に直すと約6,000万円が忠成会に入ったことりなります。6,000万円を構成員数(96人)で割ると、構成員1人62.5万円になります。忠成会にとって財政が豊かな時代だったといえます。

 1999年新開地の喫茶店で忠成会構成員らは、山口組組員達を銃撃、死亡及び重傷に至らしめます(*1)。野球賭博の揉め事が原因で起きた事件です(*1)。忠成会が山口組との対立を避けない組織であることがわかります。同時に、この事件から「非指定暴力団」の忠成会も野球賭博という裏稼業に何かしら関わっていたことが伺いしれます。

 松浦組は太平洋戦争後、松浦繁明によって設立された組織です(*3)。松浦繁明は元々東京で活動し、神戸に来る前は住吉会の源流組織・港会に相談役として属していました(*3) (*4)。松浦繁明は東京での資金獲得業に明るく、パチンコ景品換えを関西に持ち込み、資金を獲得していきます(*3)。松浦組の江口玄州が京都に進出、また大阪の梅田にも松浦組は進出しました(*3)。

 松浦繁明が持つ住吉会とのパイプには、当時の山口組組長田岡一雄(在任期間:1946~1981年)も頼っていました(*5) (*6)。住吉会も山口組とのパイプ役として、松浦組を重要視していたと考えられます。住吉会2次団体・小林会初代会長の小林楠扶は、日本最大の右翼団体・日本青年社の初代会長でもありました(*7)。日本青年社が関西に支部を設置しようとした際、松浦組の笠岡和雄に話が持ち込まれました(*8)。後に二代目松浦組組長になる笠岡和雄は当時京都で、松浦組傘下組織の笠岡組を率いていました(*9)。笠岡和雄が「日本青年社の傘下」に収まることに難色を示した結果、1982年日本青年社の親戚団体である「大日本新政會」が京都で結成されます(*8) (*10)。右翼団体を通じて、住吉会と松浦組の縁が深まった出来事でした。

 1987年松浦繁明が死去します(*11)。翌年の1988年、当時若頭兼組長代行の笠岡和雄が二代目組長に就任しました(*11)。

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はじめてのヤクザ組織解剖学: 博徒組織、テキヤ組織とは何か

はじめてのヤクザ組織解剖学2: 直参制度、ミカジメ料とは何か

はじめてのヤクザ組織解剖学3: 戦後の違法賭博業

はじめてのヤクザ組織解剖学・番外編

はじめてのヤクザ組織解剖学・番外編2

<引用・参考文献>

*1 『実話時代』2018年1月号, p24

*2 『大阪ヤクザ戦争 ~30年目の真実~』(木村勝美、2009年、メディアックス), p132-133

*3 『狼侠』(笠岡和雄、2017年、大翔), p13-14

*4 『狼侠』, p74

*5 『狼侠』, p17

*6 『山口組の100年 完全データBOOK』(2014年、メディアックス), p18-21

*7 『黒幕 巨大企業とマスコミがすがった「裏社会の案内人」』(伊藤博敏、2016年、小学館文庫), p302-304

*8 『狼侠』, p56-57

*9 『狼侠』, p35-37

*10 大日本新政會サイト(http://www.dainipponshinseikai.co.jp/blog/?page_id=622)

*11 『洋泉社MOOK・義理回状とヤクザの世界』(有限会社創雄社実話時代編集部編、2001年、洋泉社), p130-132

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