マネーロンダリングに利用されるフロント企業

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 ヤクザ組織の構成員により実質的に支配されている会社は「フロント企業」と呼ばれます(*1)。暴力団対策法が施行された1992年以降、警察当局が「フロント企業」という言葉を使いだしました(*2)。

 ヤクザ組織がフロント企業を持つ目的の1つにマネーロンダリング(資金洗浄)があります(*1)。例えばヤクザ組織幹部Aが覚醒剤の密売をする一方、正業の居酒屋Bを実質経営していたとします。

 覚醒剤の密売による利益は「幹部A個人の現金」となります。幹部Aは警察当局から「ヤクザ組織の構成員」と認定されている為、金融機関の利用はできません。幹部Aは現金を株などの金融商品に変えることはできず、現金として持ち続けるしかありません。

 しかしフロント企業を介在させることで、裏稼業で得た現金は「表社会で通用する現金」となります。幹部Aは居酒屋B(フロント企業)で飲食し代金を払うことで、覚醒剤の密売で得た現金を「幹部A個人」から「居酒屋B」に移転させていきます。「居酒屋Bの現金」であれば、表社会で通用します。ヤクザ組織の構成員にとってフロント企業は重宝します。

<引用・参考文献>

*1 『極道のウラ情報』(鈴木智彦、2008年、宝島SUGOI文庫), p14-17

*2 『現代ヤクザ大事典』(実話時代編集部編、2007年、洋泉社), p180-181

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