企業舎弟による手形の活用方法

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 企業舎弟とは、ヤクザ組織と関与している経営者または会社組織のことです(*1)。「企業舎弟」という言葉は、警察当局により用いられてきました(*1)。企業舎弟は表向き、合法的に事業を営んでいます。

 企業舎弟の資金獲得手段の1つとして、関係企業の手形の乱発があります(*2)。手形とは、企業間における商取引の決済手段として用いられる約束証文です(*3)。手形を出す企業(支払う側)は「振出人」、手形を受け取る側(支払いを待つ側)は「受取人」と呼ばれます(*4)。

 振出人は期日までに銀行の当座預金口座に、手形の記載金額を積む必要があります(*4)。受取人は期日になれば銀行に行き、手形の記載金額を受け取ることができます(*4)。また受取人は期日前でも銀行に手形を持っていけば、記載金額から割り引かれるものの、手形を現金化することができます(*3)。

 企業舎弟は関係企業に対し、企業舎弟を「受取人」とする手形を振出させます。企業舎弟は、関係企業の手形を銀行に持ち込めば、現金化することができます。手形の活用により、企業舎弟は商取引の体裁で「関係企業の資金」を自身に移転させることができます。

<引用・参考文献>

*1 『現代ヤクザ大事典』(実話時代編集部編、2007年、洋泉社), p180-181

*2 『山口組若頭暗殺事件 利権をめぐるウラ社会の暗闘劇』(木村勝美、2009年、文庫ぎんが堂), p137

*3 『裏経済パクリの手口99』(日名子暁、1995年、かんき出版), p18

*4 『ウラ金融』(青木雄二、2002年、徳間文庫), p91

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