プラサ

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 メキシコでは麻薬組織は「カルテル」(Cartel)と呼ばれました(*1 )。

 メキシコ麻薬密カルテルにとって「縄張り」を指す言葉として、「プラサ」(Plaza)があります(*2)。プラサは、メキシコとアメリカ合衆国の国境近くのメキシコ領内 (*2)、南のカリブ海沿岸(*3)、中部マドレ山脈の高地に設けられていました (*3)。

 違法薬物の輸送隊は、プラサを通過する際、プラサを支配する麻薬カルテルに手数料を支払わなければなりませんでした(*2)。

 「プラサ主の麻薬カルテル」は違法薬物の密輸業者であった一方(*3)、プラサ内の「麻薬密輸ルート」を他組織に使用させることでも収益を上げていたのです。

  警察組織にとってもプラサは「財源」と化していました(*4)。ドキュメンタリー映画プロデューサー兼ライターのドミニク・ストリートフィールド(Dominic Streatfeild)によれば、プラサとは麻薬カルテルだけのものではなく、警察組織のものでもあったのです(*4)。つまり警察組織も「プラサの所有権者」であったということです。

 警察組織側にとって、プラサは「売買」するものでした(*4)。当然、その場合の売買は法律に基づいていない行為です。警察組織は「麻薬カルテルにプラサを販売する」という考えに基づいて活動、麻薬カルテル側から「代金」を受け取っていたのです(*4)。当然、第三者から見ると、その代金は「賄賂」に過ぎません。

 1960年代メキシコ麻薬組織がアメリカ合衆国の違法薬物市場で卸売をしていくと、警察組織による「プラサ売買事業」は大きな収益を上げました(*4)。

<引用・参考文献>

*1 『メキシコ麻薬戦争 アメリカ大陸を引き裂く「犯罪者」たちの叛乱』(ヨアン・グリロ著、山本昭代訳、2014年、現代企画室), p91

*2 『メキシコ麻薬戦争 アメリカ大陸を引き裂く「犯罪者」たちの叛乱』(ヨアン・グリロ著、山本昭代訳、2014年、現代企画室), p199

*3 『メキシコ麻薬戦争 アメリカ大陸を引き裂く「犯罪者」たちの叛乱』, p81

*4 『Cocaine: An Unauthorized Biography』(Dominic Streatfeild,2003,Picador),p363

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