覚醒剤の製造拠点は海外、大麻の栽培拠点は国内

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 日本国内に流通する覚醒剤の製造拠点は、海外です(*1)。覚醒剤は製造段階で特有の臭いを発生させます(*1)。日本国内に製造拠点があると、警察当局や麻薬取締部に見つけられやすいです。一方、製造拠点が海外の場合、輸送コスト(税関で見つからない為の細工等)が高いです。

 日本国内で作ることが可能な違法薬物として知られているのが大麻です。大麻は、植物「麻」(*2)(カンナビス・サティバ)(*3)のことです。一般的には麻は繊維の材料として知られています(*2)。大麻には種類があり、乾燥した麻の葉や花が「マリファナ」「グラス」等と呼ばれ、樹脂を固めたものは「ハッシュ」「チャラス」等と呼ばれます(*2)。

 大麻は海外から航空便や船便で密輸されることもありますが(*4)、日本国内で密かに栽培されています(*5)。大麻は屋内栽培が多いです(*5)。

 昔は国産に比し、海外産大麻の質が良いと見なされていました(*4)。しかし現在は栽培技術の発達等により、国内産大麻の質が向上したと言われています(*4)。

 麻薬取締部によれば、栽培者は大麻草1株につき「薬物使用可能な量」として約500gを採取できると考えられています(*5)。大麻たばこ1本分の大麻使用量は約0.5gとされています(*5)。栽培者は大麻草1株を栽培すれば「約1,000本の大麻たばこ」を作ることができます。

 乾燥大麻1gの末端(小売)価格は約5,000円が相場です(*5)。大麻たばこ1本(約0.5g)の価格を仮に約2,500円とします。栽培者が大麻草1株を栽培し約1,000本の大麻たばこを作り完売したとすると、約250万円(2,500円×1,000本)が栽培者に入ってきます。

 大麻国内栽培の場合、海外からの密輸に比し、輸送コストは低いです。2018年大麻事犯の検挙者数は過去最多の3,762人であり(*2)、近年大麻の利用者は増加していると考えられます。巨額の金と輸送コストの軽減により、大麻栽培に走る者が増え、結果大麻の利用者が増えていると考えられます。

<引用・参考文献>

*1 『マトリ 厚労省麻薬取締官』(瀬戸晴海、2020年、新潮新書), p57

*2 『マトリ 厚労省麻薬取締官』, p79-81

*3 『[日経BPムック]ナショナル ジオグラフィック 別冊  マリファナ 世界の大麻最新事情』(2020年、日経ナショナル ジオグラフィック社) , p9

*4 『裏社会 噂の真相』(中野ジロー、2012年、彩図社), p213-215

*5 『マトリ 厚労省麻薬取締官』, p83-84

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