産業廃棄物ビジネスとヤクザ組織

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 ヤクザ組織の収入源の1つとして産業廃棄物ビジネスがありました(*1)。ヤクザ組織が主導し、産業廃棄物を「違法な手段」で廃棄し、利益を得ていました。産業廃棄物ビジネスは許可制で、収集運搬、中間処理、最終処分の3工程に分かれていました(*1)。最終処分業務において、酸・アルカリ廃液などの化学処理の領域を除けば、業者に専門的知識は特に求められませんでした(*1)。ヤクザ組織は最終処理業務に介入しやすかったと考えられます。

 ヤクザ組織は合法ルートの半額料金(首都圏10トンダンプ一台6~7万円)以下で最終処分業務を引受けていました(*1)。ヤクザ組織は引受けた廃棄物を「廃棄禁止の場所」に廃棄することで、廃棄費用を浮かしました(*1)。違法廃棄場所として、廃液の場合は山奥の川やダム、廃材の場合は谷が主に選ばれていました(*2)。

 違法廃棄において、違法廃棄場所の探索は「開発屋」と呼ばれる者が行い、人員集めはヤクザ組織が行っていました(*1)。元々ヤクザ組織の中には、ゴミ処理や清掃業務を資金獲得業としていた組織もあり(*3)、産業廃棄物ビジネスとヤクザ組織は親和性が高かったと考えられます。

 非合法の中絶手術によって摘出された胎児と胎盤の処理も、違法産業廃棄物ビジネスの領域でした(*2)。胎児と胎盤は他の廃棄物とともに、焼却により処理されていました(*2)。

 海外ではイタリアのアウトロー組織も違法産業廃棄物ビジネスを手掛けてきました(*4)。

<引用・参考文献>

*1 『裏経済パクリの手口99』(日名子暁、1995年、かんき出版), p57

*2 『DATAHOUSE BOOK 011 シノギの手口』(夏原武、2003年、データハウス), p75-76

*3 『現代ヤクザ大事典』(実話時代編集部編、2007年、洋泉社), p190

*4  Anna Sergi.(2012). Fifth column:Italy’s Basilischi mafia crime group re-emerges. Jane’s Intelligence Review, June, p43

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