大規模工事における工藤會の徴収料金

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 土建業界の「元請け」(大手建設会社)は業務を下請けに出します(*1)。下請けの会社で働く一部の現場作業員は、「ヤクザ組織の手配」によって供給されていました(*1)。昔からヤクザ組織は土建業界の「人材派遣業」(手配師の仕事)に長けていました(*1)。ヤクザ業界と土建業界の「距離」は近かったと考えられます。

 福岡県北九州市では2003年まで、大規模工事があると、工藤會傘下の地元組織が「工事代金の数%」を土建会社から徴収していました(*2)。地元組織は徴収金全額を一度工藤會本部に納める必要がありました(*2)。徴収金は工藤會本部に納められた後、半分の金が地元組織に返納されました(*2)。土建会社が「工事代金の数%」という高額料金を払っていた理由としては、工藤會または他のヤクザ組織とのトラブル回避があったと考えられます。

 2003年以降、工藤會会長・田上不美夫(当時工藤會理事長)が北九州市内の大規模工事を一部仕切ることになりました(*2)。田上不美夫と親しくしていた企業は10社ほどあり、「十社会」と呼ばれていました(*2)。工藤會側は「工事の内容」によって「徴収料金」を変えていました。建築工事1%、土木工事1.5~2%、解体工事5%という内容で、工藤會側は徴収していました(*3)。

 当時元請け会社は、下請け会社での「工藤會の徴収」を知っていました(*3)。元請け会社は「工藤會の徴収料金」込みの水増し価格で、下請けに業務を出していました(*3)。

<引用・参考文献>

*1 『任俠 実録日本俠客伝②』(猪野健治、2000年、双葉文庫), p175

*2 『県警VS暴力団 刑事が見たヤクザの真実』(藪正孝、2020年、文春新書), p59-63

*3 『県警VS暴力団 刑事が見たヤクザの真実』, p111-113

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