経済的後進国の人が先進国に出稼ぎに行く要因の1つとして、通貨交換により生じる利益があります。後進国の通貨に比して、先進国の通貨の価値は高いです。為替相場は「後進国通貨安」「先進国通貨高」となります。
仮に日本が「後進国」になったとしましょう。先進国アメリカの通貨「ドル」と後進国日本の通貨「円」の為替相場は、「ドル高」「円安」となります。仮に為替相場は1ドル=400円になったとします。日本に住むAさんがアメリカに行き、ファーストフード店で月給2千ドルの仕事に就いたとします。Aさんは1年間働き、日本に戻ります。為替相場の変更はなく、Aさんは2万4千ドル(2千ドル×12カ月)を日本円に戻します。2万4千ドルは、960万円になります。
実際の現在のドル円の為替相場は1ドル=約110円です。2万4千ドルを実際の為替相場で円に戻すと、264万円となります。
経済的後進国の人にとって、「通貨の高い国」で働くことは利益になります。ゆえに密入国というリスクを負っても、先進国に入ろうとする人々がいます。
ヨーロッパにおいてアルバニアの組織は「密入国サービス」を提供していました(*1)。アルバニアとイタリアはアドリア海を挟んで位置しています。アルバニアの組織はアルバニアから漁船で、イタリアの沿岸近くまで密入国希望者を運びました(*1)。アルバニアの組織は沿岸近くにて、密入国希望者を海に飛び込ませ、イタリアの沿岸まで泳がせて行かせました(*1)。漁船を沿岸まで行かせないのは、イタリアの警備隊に捕まらない為のリスク回避だったと考えられます。料金は約500ドルでした(*1)。
<引用・参考文献>
*1 『国際情勢の見えない動きが見える本 新聞・テレビではわからない「世界の意外な事実」を読む』(田中宇、2001年、PHP文庫), p64-66
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