関税と密貿易

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 イギリスでは東インド会社(活動期間:1600~1858年)(*1)が、1833年まで中国との貿易を独占していました(*2)。中国からの主な輸入品としては、茶がありました。1721年時、100万ポンド(重量の単位)超の茶がイギリスに輸入されました(*3)。1721年時の輸入総額において「茶の占める割合」は18.7%でした(*3)。以降も、多くの茶がイギリスに輸入されました(*3)。

 1690年時、イギリスにおける茶の輸入関税は500%でした(*3)。現在の日本に直すと、50gあたり1,000円の茶を輸入した場合、輸入業者は「5,000円の関税」を税関に払わなければなりません。輸入業者は6,000円(「仕入れ価格の1,000円」+「関税の5,000円」)よりも高い価格で、50gの茶を売らないと、利益を確保できません。

 1784年よりも前の時期のイギリスにおいて、茶の輸入関税は119%でした(*2)。1,000円の茶の場合、輸入業者は「1,190円の関税」を税関に払う必要があります。1784年イギリスは茶の輸入関税を「119%」から「12%」に下げました(*2)。輸入関税12%であれば、1,000円の茶の場合、輸入業者は「120円の関税」を税関に払えば済みます。

 輸入関税が下がると、該当の小売価格も下がります。小売価格の下落は、需要を増加させます。1784年以降、茶の輸入量は増加しました(*2)。1784年以降の茶の輸入量増加は、当時のイギリスにおいて「茶の人気の高さ」を示しました。

 茶の輸入関税が高かった時代、茶の密貿易も盛んだった模様です(*3)。茶の密貿易業者は「関税を払わない」為、正規品(関税を払った商品)よりもイギリス市場に安く茶を供給できたと考えられます。

<引用・参考文献>

*1 『東インド会社 巨大商業資本の盛衰』(浅田實、2017年、講談社現代新書), p19,221

*2 『興亡の世界史 東インド会社とアジアの海』(羽田正、2019年、講談社学術文庫), p334-335

*3 『興亡の世界史 東インド会社とアジアの海』, p270-271

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