ミカジメ料と法人税

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 違法領域の事業主の多くは、ヤクザ組織にミカジメ料を払ってきました。ミカジメ料未払いの事業主は、ヤクザ組織からの攻撃対象となります。合法領域の事業主と異なり、違法領域の事業主が警察に相談すれば、事業の違法性が露見されてしまいます。

 違法領域の事業主は警察に頼ることはできません。違法領域の事業主にとって選択肢は、ヤクザ組織にミカジメ料を払うか、ヤクザ組織と武力で対峙するかの2つに限られます。違法領域の事業主にとって、活動の主軸は「事業」であって、「裏社会において覇権を握ること」ではない為、ヤクザ組織との武力抗争は「大きなコスト」以外の何ものでもありません。違法領域の事業主にとって、ヤクザ組織にミカジメ料を払った方が合理的だったのです。

 一方、違法領域ゆえに、違法領域の事業主は法人税等の各種税金を国に対し払いませんでした。合法領域の事業主の場合、ヤクザ組織にミカジメ料を払わない一方、国には法人税を払います。対し、合法領域の事業主の場合、ヤクザ組織にミカジメ料を払う一方、国には法人税を払いませんでした。

 違法領域の事業の一つに、闇カジノがありました(*1)。中京圏のある闇カジノの月間売上は約3,000万円でした(*1)。闇カジノの事業主は毎月100万円をヤクザ組織にミカジメ料として払っていました(*1)。売上の約3.3%がミカジメ料にあてられていたことになります。現在の法人税の税率は15%以上 (*2) ですが、法人税は売上ではなく「税引前当期純利益」にかかってきます(*3)。

<引用・参考文献>

*1 『闇経済の怪物たち グレービジネスでボロ儲けする人々』(溝口敦、2016年、光文社新書), p113

*2  国税庁サイトhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5759.htm

*3 『増補改訂 財務3表一体理解法』(國貞克則、2020年、朝日新書), p30

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