六合彩を利用した違法宝くじ

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 香港には「六合彩」という宝くじがあります(*1)。流氓(台湾のアウトロー組織の総称)の天道盟は六合彩を「賭博対象」とした裏ビジネスを展開していました(*1)。天道盟は六合彩の「胴元」になっていました(*1)。本来、六合彩の胴元は香港の合法的な団体です。つまり天道盟は六合彩の「闇の胴元」として、六合彩の仕組みを利用する「違法宝くじ」を運営していました(*1)。

 香港において賭博は合法化されており、宝くじの六合彩、サッカーくじの「足智彩」、競馬が提供されてきました(*2)。香港においては「香港賽馬会」(1884年設立)という団体が各種賭博を管轄していました(*2)。六合彩は1975年より、足智彩は2003年より始まりました(*2)。ちなみにマカオでは賭博は1847年から合法化されていました(*2)。

 公式の宝くじを利用した「違法宝くじ」はベトナムにおいても見られました(*3)。ベトナムの都市部では「ジャンホー」というアウトロー組織が違法宝くじの「胴元」になっていました(*3)。また日本では江戸時代に「富くじ」という公認宝くじに対し、「影富」という公認されていない宝くじが流行りました (*4)。影富は「富くじの当選番号」を自身の当選番号に流用していました(*4)。

 違法宝くじの「胴元」だった天道盟は1985年頃、羅福助らによって設立されました(*5)。設立時に羅福助が管訓に収監されていたこともあり、管訓や刑務所において天道盟は勢力を拡大していきました(*5)。管訓とは台湾南東にある緑島の収監施設で、行政機関によって運営されていました(*6)。管訓では刑務所より、収監者は厳しい扱いを受けることで知られていました(*6)。天道盟の構成員の多くは「本省人」(台湾省出身者)でした(*5)。ちなみに台湾の「外省人」(中国大陸出身者)系の流氓としては、竹聨幇や四海幇がありました(*5)。

<引用・参考文献>

*1 『中国「黒社会」の掟-チャイナマフィア』(溝口敦、2006年、講談社+α文庫), p140-141,166

*2 『エリア・スタディーズ142  香港を知るための60章』「コラム9 賭博と言語文化」(濱田武志、2019年、明石書店),p353

*3 『日刊ゲンダイ』2020年12月24日号(23日発行)「相次ぐ摘発 在日ベトナム人の真実 連載<13>」(出井康博)

*4 『江戸のギャンブル』(有澤真理、2017年、歴史新書、洋泉社), p106-107

*5 『中国「黒社会」の掟-チャイナマフィア』, p167-168

*6 『歌舞伎町・ヤバさの真相』(溝口敦、2012年、文春新書), p181

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