2000年代東京・六本木における違法薬物小売ビジネスの利益率

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 『薬物売人』(2021年、幻冬舎新書)の著者・倉垣弘志氏は2000年代東京・六本木でバー店主を務める一方、違法薬物の販売をしていました(*1)。倉垣氏は「最終消費者(客)」に違法薬物を売っており、違法薬物市場の「川下」(小売)に位置していました。

 倉垣氏はマリファナ、コカイン、覚醒剤など様々な違法薬物を売っていました(*2)。2010年倉垣氏は逮捕され覚醒剤取締法違反、営利目的譲渡の罪で起訴されました(*3)。裁判の結果、懲役3年の判決が下され、倉垣氏は服役しました(*4)。

 違法薬物を小売していた時代、倉垣氏はマリファナを卸から100gにつき20~25万円で仕入れていました(*2)。1gに直すとマリファナの仕入れ価格は2,000~2,500円でした。倉垣氏は客に対し10gをロットとし、1gにつき5,000円の価格で販売していました(*2)。客は「10gのマリファナ」を5万円で購入していたことになります。以上から、倉垣氏のマリファナ(1g)販売ビジネスの利益率(利益÷売上高×100)は50~60%だったことが推測されます。

 コカインの場合、倉垣氏は卸から20gにつき18万円で仕入れていました(*5)。1gに直すとコカインの仕入れ価格は9,000円でした。倉垣氏は客に対し1gにつき2万円の価格でコカインを販売していました(*5) 。以上から、倉垣氏のコカイン(1g)販売ビジネスの利益率(利益÷売上高×100)は55%だったことが推測されます。

 覚醒剤の場合、倉垣氏は卸から10gにつき20~26万円で仕入れていました(*6)。1gに直すと覚醒剤の仕入れ価格は2万~2万6,000円でした。倉垣氏は客に対し1gにつき5万円の価格で覚醒剤を販売していました(*6) 。以上から、倉垣氏の覚醒剤(1g)販売ビジネスの利益率(利益÷売上高×100)は48~60%だったことが推測されます。

 マリファナ、コカイン、覚醒剤の利益率が48~60%の間で収まっています。3つとも利益率が近いことが分かります。

<引用・参考文献>

*1 『薬物売人』(倉垣弘志、2021年、幻冬舎新書), p57

*2 『薬物売人』, p188-192

*3 『薬物売人』, p89-90

*4 『薬物売人』, p142-143

*5 『薬物売人』, p196

*6 『薬物売人』, p209

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