駒札

  • URLをコピーしました!

 博徒組織により開帳された賭博では、主に現金が「チップ」(賭け金)として用いられました(*1)。関西の主要な賭博として知られたのが手本引でした(*2)。手本引において客は張り札を盆(白い敷布)に置くと同時に、現金もチップとして盆に置きました(*2) (*3)。

 博徒業界では、客を手配し開帳する大規模な賭博を「オオガイ」と呼んでいました(*4)。オオガイでは、一束10万円とするチップのルールがありました (*5)。オオガイの「チップの下限額」は10万円だったと推察されます。賭場では「紙幣10枚」で一束とする慣習があり、一束は「ズク」と呼ばれました(*6)。

 現金がチップとして用いられる前は、「駒札」と呼ばれる物が用いられていました(*7)。客は賭博に参加する前、賭場で駒札を購入しました(*7)。駒札の精算は、客が帰る際に行われました(*7)。

 チップが現金の場合、盆に現金が置かれている為、賭場荒らし時に現金が奪われやすいです。一方、チップが駒札の場合、現金は金庫等に保管されていたと考えられる為、賭場荒らし時に金庫等を上手く隠せば、現金を奪われません。賭場荒らしの者達は盆の駒札を奪っても、賭場以外では現金化できません。

<引用・参考文献>

*1 『潜入ルポ ヤクザの修羅場』(鈴木智彦、2011年、文春新書), p203

*2 『現代ヤクザ大事典』(実話時代編集部編、2007年、洋泉社), p193

*3 『親分 実録日本俠客伝①』(猪野健治、2000年、双葉文庫), p230

*4 『潜入ルポ ヤクザの修羅場』, p195

*5 『潜入ルポ ヤクザの修羅場』, p201

*6 『賭けずに楽しむ日本の賭博ゲーム』(伊藤拓馬、2015年、立東舎), p142

*7 『昭和のヤバいヤクザ』(鈴木智彦、2019年、講談社+α文庫), p132

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次