裏社会における拳銃価格は、「口径×2」(万単位)によって決まるとも言われています(*1)。22口径であれば「22×2」で44万円、25口径であれば「25×2」で50万円、32口径であれば「32×2」で64万円、38口径であれば「38×2」で76万円という価格帯になります。S&W(スミス&ウエッソン)の38口径回転式拳銃の場合、70万円以上(実弾付き)で売買されていました(*1)。
裏社会では回転式拳銃より、自動拳銃の方が低価格で売買されていました(*1)。裏社会で流通した主な自動拳銃としては、トカレフがありました(*1)。トカレフはソ連の軍用銃でした(*2)。
後にトカレフは中国においてもライセンス生産されました(*1) (*3)。上海、香港、台湾における裏社会の組織から、ヤクザ組織は中国産トカレフを密輸していました(*3)。
トカレフの価格は20~30万円でした(*1)。トカレフの低価格の要因としては、弾道の不安定さ(*1)、弾詰まりのしやすさ(100回に1回程度の弾詰まり)(*2)、他の弾丸を使えないこと(*2)などがありました。
S&Wの38口径回転式拳銃において、使用弾丸の種類は多かったです(*1)。一方、トカレフの場合、使用弾丸は「ロシア規格の弾丸」のみでした。ロシア規格の弾丸が尽きると、トカレフは他の弾丸を使えないので、「拳銃」としての役割を失いました。使用制限の多いトカレフに対する需要は低かったと考えられます。
<引用・参考文献>
*1 『裏社会 噂の真相』(中野ジロー、2012年、彩図社), p193
*2 『塀の中の元極道 YouTuberが明かす ヤクザの裏知識』(懲役太郎、2020年、宝島社), p27-29
*3 『裏経済パクリの手口99』(日名子暁、1995年、かんき出版), p129
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