日本の賭博に関する罪名、罰則

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 賭博を違法に開催した者(胴元)に対する罪名として、賭博場開張等図利罪があります(*1)。賭博場開張等図利罪は、刑法186条2項において定められています(*1)。刑法186条2項は、賭博場開張等図利罪の該当者を、3カ月以上5年以下の懲役に処するとしています(*1)。また胴元には「常習賭博罪」という罪名も適用される場合があります(*2)。常習賭博罪の罰則は「3年以下の懲役」です(*2)。

 稲川会初代会長・稲川聖城は1965年賭博開張図利容疑で警視庁に逮捕され、後に懲役3年の刑に服しました(*3)。1964年3月29日稲川聖城は住吉一家四代目磧上義光総長とともに、引退する住吉一家三代目阿部重作総長の御祝儀として、箱根の温泉旅館で賭場を開催しました(*3)。稲川聖城はこの賭場を開いた容疑で逮捕されました。

 1985年2月兵庫県警は、山口組2次団体・二代目竹中組トップの竹中武を賭博開張図利容疑(野球賭博を主催した疑い)で逮捕しました(*4)。

 一方、賭博の客に対しては「賭博罪(単純賭博罪)」もしくは「常習賭博罪」が適用されます(*2) (*5)。単純賭博罪の罰則は「50万円以下の罰金または科料」です(*2)。

 2010年大相撲力士の野球賭博事件が明らかになりました(*6)。一部の力士らが客として野球賭博に参加していたのでした(*6)。野球賭博に関与した力士らは単純賭博容疑で書類送検されました(*6)。

<引用・参考文献>

*1 『教養としてのヤクザ』(溝口敦、鈴木智彦、2019年、小学館新書), p52

*2 『DATAHOUSE BOOK 011 シノギの手口』(夏原武、2003年、データハウス), p214

*3 『洋泉社MOOK・ヤクザ・指定24組織の全貌』(有限会社創雄社・実話時代編集部編、2002年、洋泉社), p35-36

*4 『「ごじゃ」の一分 竹中武 最後の任俠ヤクザ』(牧村康正、2017年、講談社), p111

*5 『選択』2022年2月号「連載146 罪深きはこの官僚 畠山 陽二郎」, p58

*6  [別冊宝島Real]『ヤクザより悪い男たち』(古市満朝、2016年、宝島社), p168-203

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