ヤクザ組織が手掛けた資金獲得業の1つに、人足供給業(労働者派遣業)がありました(*1)。ヤクザ組織が日雇い労働者を集め、工場や港湾に送り出していました。人足供給業は「人夫出し」とも言われ、例えばヤクザ組織は「一人あたり1万5千円~2万円」の日給と引き換えに、工場に日雇い労働者を提供しました(*1)。ヤクザ組織は「1万5千円~2万円」の日給から4千円を手数料として、労働者から徴収しました(*1)。日給1万5千円の場合、ヤクザ組織は日給の27%を徴収していたことになります。
港湾荷役の世界でも、ヤクザ組織が人足供給業を担っていました。1915年結成された山口組は当初、神戸市内の港湾荷役の人足供給を主な稼業としていました(*2)。
人足供給業を得意としてきたヤクザ組織は、派遣先の現場で賭博業も行っていました(*3)。賭博の客は、ヤクザ組織の影響下にある日雇い労働者でした(*3)。土建、港湾荷役の宿舎で賭場が開かれていました(*3)。明治時代(1868~1912年)から1960年代中頃まで、港湾荷役会社の経営者の多くは、博徒系組織の者で、賭場を運営していました(*4)。
ヤクザ組織が人足供給業の派生ビジネスとして、賭博業を展開させていたことが分かります。
<引用・参考文献>
*1 『ヤクザをやめて20年!ずっと年収1億超を続ける「栃木のアニキ」29の教え』(ひのえ太郎、2013年、山中企画 出版部), p85-86
*2 『完全保存版 TOWN MOOK 山口組 百年の血風録』(週刊アサヒ芸能・特別編集、2015年、徳間書店), p21
*3 『FOR BEGINNERS シリーズ ヤクザ』(朝倉喬司、1990年、現代書館), p36
*4 『実話時代』2019年9月号, p80
コメント