マングレル・モブとブラック・パワーの誕生

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 ニュージーランドで活動するアウトロー組織のカテゴリーの1つとして、「ストリートギャング」(street gang)があります。「マングレル・モブ」(Mongrel Mob)、「ブラック・パワー」(Black Power)等が代表的なストリートギャングとして知られています(*1)。

 マングレル・モブは1960年代前半、ウェリントン(ウェリントン広域自治体)、ホークス・ベイ(Hawke’s Bay)地方の主にヨーロッパ系不良青年グループとして誕生しました(*1)。しかし2018年時点のマングレル・モブでは、マオリ系や他のポリネシア系の構成員が多くを占めていました(*2)。

 ニュージーランドは主に「北島」と「南島」から構成されており、ウェリントン広域自治体、ホークス・ベイ地方ともに北島に位置しています。ウェリントンはニュージーランドの首都です。

 ブラック・パワーの前身は、ブラック・ブルズ(Black Bulls)でした(*3)。ブラック・ブルズは、1970年ウェリントンでマオリ族の青年達によって結成されました(*3)。当時マングレル・モブが勢力拡大をしていく中、ブラック・ブルズは防衛力の強化を迫られました(*3)。ブラック・ブルズは他のマオリ族グループと組み、新団体「ブラック・パワー」を結成したのでした(*3)。レイテュ・ハリス(Reitu Harris)が新団体「ブラック・パワー」結成において主導的な役割を果たしました(*3)。

 ブラック・パワーは組織専用ワッペンを導入し、また組織内に指揮命令系統を確立しました(*3)。その後ブラック・パワーは北島のベイ・オブ・プレンティ(Bay of Plenty)地方に進出するなど、勢力を拡大させていきました(*3)。ブラック・パワーは北島内の「ファーナウ」(whanau)のネットワークに通じており、他グループを引き入れやすかったことが勢力拡大の背景にありました(*3)。「ファーナウ」(whanau)はマオリ語で、「家族」を意味します。

<引用・参考文献>

*1 『Patched: The History of Gangs in New Zealand』(Jarrod Gilbert,2021,Auckland University Press), p37

*2 『The One Percenter Encyclopedia: The World of Outlaw Motorcycle Clubs from Abyss Ghosts to Zombies Elite (English Edition)』Kindle版「Mongrel Mob」(Bill Hayes,2018, Motorbooks)

*3 『Patched: The History of Gangs in New Zealand』, p60-62

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