キャバクラには「切り取り」需要がない

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  クラブ、キャバクラ等の接待飲食店は風営法の下で営業しています(*1)。接待飲食店は風営法の「風俗営業接待飲食等営業1号営業」に該当しています(*1)。

 接待飲食店の中でもクラブとキャバクラでは営業形態が異なっています。クラブの場合、高級店では「チャージ料」が4~6万円となっています(*1)。飲み物代は別です(*1)。また基本的に客の滞在時間は「2時間制」です(*1)。

 クラブでは接待担当の女性は「ホステス」と呼ばれ、客には専属ホステスが付きます (*1)。しかし「専属ホステスの指名権」は客ではなく店側にあります(*1)。またクラブでの支払いは「後日の一括払い」(店側からすると売掛金)です(*1)。ホステスは担当客の売掛金回収責務を負います(*2)。

 「未回収の売掛金」はホステスの給料から差し引かれます(*3)。未回収の売掛金が10万円で、給料30万円のホステスの場合、20万円し支給されないのです。また未回収分が給料を超えた場合(例えば未回収の売掛金が40万円、給料30万円)、ホステスには給料はなく「赤字でマイナス金額が記入された伝票」(通称「赤伝票」)が渡されます(*3)。

 つまり赤伝票は「ホステスの債務(借金)」です。ホステスの中にはヤクザ組織の構成員等に「売掛金回収の代行」を頼む者もいます(*3)。ヤクザ業界において売掛金回収代行業務は「切り取り」と呼ばれています(*3)。切り取りの報酬は「回収済み金額の半分」です(*3)。

 一方キャバクラは時間単位(30分や1時間)の課金システムをとっています(*1)。また接待担当女性は「キャスト」と呼ばれます(*1)。担当キャストの「指名権」は客にあります(*1)。またキャバクラでの支払いは「当日払い」となります(*2)。キャバクラのキャストには、クラブのホステスのように売掛金回収責務がないので、「切り取り」需要はないこと分かります。

<引用・参考文献>

*1 『日本水商売協会-コロナ禍の「夜の街」を支えて』(甲賀香織、2022年、ちくま新書), p61-66

*2 『死なばもろとも』(ガーシー(東谷義和)、2022年、幻冬舎), p96-97

*3 『DATAHOUSE BOOK 011 シノギの手口』(夏原武、2003年、データハウス), p56-57

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