オーストラリアの違法薬物市場では大麻と覚醒剤が主流

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 オーストラリアにおいて覚醒剤は「アンフェタミン系覚醒剤」と呼ばれ、取り締られてきました(*1)。アンフェタミン系覚醒剤は「Amphetamine-type stimulants」の日本語訳で、略して「ATS」とも表されます(*1)。アンフェタミン系覚醒剤は主に、アンフェタミン(amphetamine)、メタンフェタミン(methylamphetamine)、MDMA(3,4-methylenedioxymethamphetamine)で構成されています(*1)。

 オーストラリアでは違法薬物内のデータ比較時、アンフェタミン系覚醒剤からMDMAを除外する場合があります。つまりアンフェタミン系覚醒剤は、「MDMAを除くアンフェタミン系覚醒剤」と「MDMA」に分かれます。近年のオーストラリアでは「MDMAを除くアンフェタミン系覚醒剤」の中ではメタンフェタミンが最も多く押収され、またメタンフェタミン関連の検挙数が多いです(*2)。「MDMAを除くアンフェタミン系覚醒剤」の中ではメタンフェタミンがオーストラリアの中で最も流通していることが分かります。

 オーストラリアでは4形態のメタンフェタミンが流通しています(*1)。1つ目は錠剤型、2つ目は結晶型(通称「アイス」)、3つ目が「ベース(base)」と呼ばれる形態(通称「ペースト」)、4つ目が粉末状(通称「スピード」)となっています(*1)。メタンフェタミンの摂取方法としては「経口」「経鼻的吸引」「吸煙」「静脈注射」があります(*1)。

 一方アンフェタミンはオーストラリアでは、主に粉末状、錠剤型の2形態で流通しています(*1)。アンフェタミンの主な摂取方法としては「経口」「経鼻的吸引」「吸煙」があり、アンフェタミンの「静脈注射」は一般的ではありません(*1)。

 メタンフェタミンとアンフェタミンでは化学組成が異なります(*1)。アンフェタミンに比し、メタンフェタミンの効能の方が強いです(*1)。

 2019-2020年オーストラリアで押収された「MDMAを除くアンフェタミン系覚醒剤」の総重量は9,408kgでした(*2)。違法薬物の押収総重量第1位は、10,622kgの大麻でした(*2)。「MDMAを除くアンフェタミン系覚醒剤」の押収総重量(9,408kg)は大麻に次ぐ第2位でした。第3位は3,214kgのMDMA、第4位は1,573kgのコカイン、第5位は210kgのヘロインでした(*2)。

 同時期(2019-2020年)の押収件数の第1位は62,454件の大麻でした(*2)。第2位は34,133件の「MDMAを除くアンフェタミン系覚醒剤」、第3位は5,750件のコカイン、第4位は4,981件のMDMA、第5位は2,230件のヘロインでした(*2)。

 同時期(2019-2020年)の検挙者数の第1位は76,669人の大麻でした(*2)。第2位は44,847人の「MDMAを除くアンフェタミン系覚醒剤」、第3位は5,393人のコカイン、第4位は4,746人のMDMA、第5位は3,514人のヘロイン(オピオイド系薬物も含む)でした(*2)。

 「押収総重量」「押収件数」「検挙者数」の3項目とも1位大麻、2位「MDMAを除くアンフェタミン系覚醒剤」の順でした。また3項目とも、2位と3位間のデータ数に差がありました。

 以上から2019-2020年のオーストラリアの違法薬物市場では主に大麻とメタンフェタミンが流行っていたことが分かります。

 2019-2020年オーストラリアにおける各違法薬物の卸売価格(路上取引レベル)は以下になっています(*2)。ドルは「オーストラリアドル」です。ドル表記の後ろの()内は、販売単位です。

大麻(水耕栽培):27.5ドル(1g)

「MDMAを除くアンフェタミン系覚醒剤」(つまりメタンフェタミン):90ドル(0.1g)

MDMA:22.5ドル(1錠)

コカイン:80ドル(0.2g)

ヘロイン: 85ドル(0.1~0.3g)

 当時(2019-2020年)の為替レートを1オーストラリアドル=75円として、日本円に直すと以下になります。10の位以下は切り捨てました。

【2019-2020年為替レートにて日本円に直した違法薬物価格】

大麻(水耕栽培):2,000円(1g)

「MDMAを除くアンフェタミン系覚醒剤」(つまりメタンフェタミン):6,700円(0.1g)

MDMA:1,600円(1錠)

コカイン:6,000円(0.2g)

ヘロイン: 6,300円(0.1~0.3g)

 ちなみに現在の為替レート(1オーストラリアドル=90円とする)では、以下になります。10の位以下は切り捨てました。

【2022年為替レートにて日本円に直した違法薬物価格】

大麻(水耕栽培):2,400円(1g)

「MDMAを除くアンフェタミン系覚醒剤」(つまりメタンフェタミン):8,100円(0.1g)

MDMA:2,000円(1錠)

コカイン:7,200円(0.2g)

ヘロイン:7,600円(0.1~0.3g)

 ちなみに日本における覚醒剤(メタンフェタミン)の卸価格の1例として「10グラム10万円」(2016年時点)がありました(*3)。0.1gに直すと、1,000円の卸価格になります。また小売市場(消費市場)では覚醒剤は1パケ(約0.3g)1万円(2016年時点)で販売されてきました(*3)。

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<引用・参考文献>

*1 オーストラリア犯罪情報委員会サイト内「違法薬物データレポート2019–20」(2021),p34

https://www.acic.gov.au/sites/default/files/2021-10/IDDR%202019-20_271021_Full_0.pdf

*2「違法薬物データレポート2019–20」, p10

*3 『日刊ゲンダイ』2016年2月16日号(15日発行)「溝口敦の斬り込み時評<245>」

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