2022年アメリカ合衆国で発行された『2021年版NFLIS-DRAG年次報告書』では、2021年のアメリカ合衆国における違法薬物の報告件数が記載されています。
NFLISとは「National Forensic Laboratory Information System」の略です(*1)。日本語に訳すと「国立法医学研究所情報システム」になります。NFLISは、アメリカ合衆国麻薬取締局(DEA)乱用防止対策部のプログラムの1つです(*1)。
NFLISは、2021年1月1日~12月31日間にアメリカ合衆国内の州および地域のNFLIS研究所に提出された違法薬物の報告を基に、2022年3月31日までに分析を行いました (*2)。結果、推定1,326,205件(アメリカ合衆国全体:全米)の違法薬物報告が認められました(*3)。
全体1,326,205件のうち、「最も頻繁に確認される25の違法薬物」が1,143,219件(86.20%)、「その他違法薬物」が182,987件(13.80%)、でした(*2)。
*()内の%は、該当違法薬物の割合を示しています
【全米】
全米報告件数第1位は406,200件(30.63%)のメタンフェタミン(覚醒剤の一種)でした(*2)。第2位は167,669件(12.64%)の大麻、3位は165,162件(12.45%)のコカイン、4位は153,949件(11.61%)のフェンタニル、5位は72,315件(5.45%)のヘロインでした(*2)。報告件数から、2021年アメリカ合衆国の違法薬物市場において、メタンフェタミンが最も多く流通していたことが示唆されます。ちなみにアンフェタミン(覚醒剤の一種)の報告件数は8,454件(0.64%)でした(*2)。2021年のアメリカ合衆国において覚醒剤はメタンフェタミンが流行していたことが分かります。
また地方別(「西部」「中西部」「北東部」「南部」)も見てみましょう。
【西部】
西部内の報告件数第1位は100,050件(43.34%)のメタンフェタミンでした(*2)。第2位は26,691件(11.56%)のフェンタニル、3位は19,841件(8.60%)のヘロイン、4位は15,347件(6.65%)の大麻、5位は12,123件(5.25%)のコカインでした(*2)。
【中西部】
中西部内の報告件数第1位は102,151件(30.87%)のメタンフェタミンでした(*2)。第2位は51,223件(15.48%)の大麻、3位は40,259件(12.17%)のフェンタニル、4位は34,824件(10.52%)のコカイン、5位は14,640件(4.42%)のヘロインでした(*2)。
【北東部】
北東部内の報告件数第1位は49,640件(22.19%)のコカインでした(*2)。第2位は45,607件(20.39%)のフェンタニル、3位は21,541件(9.63%)の大麻、4位は18,989件(8.49%)のメタンフェタミン、5位は17,420件(7.79%)のヘロインでした(*2)。北東部ではコカインが最も多く流通していたこと、またメタンフェタミンよりもフェンタニル及び大麻がより多く流通していたことが示唆されます。
【南部】
南部内の報告件数第1位は185,011件(34.21%)のメタンフェタミンでした(*2)。第2位は79,558件(14.71%)の大麻、3位は68,576件(12.68%)のコカイン、4位は41,393件(7.65%)のフェンタニル、5位は20,414件(3.77%)のヘロインでした(*2)。
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<引用・参考文献>
*1 『2021年版NFLIS-DRAG年次報告書』(アメリカ合衆国司法省麻薬取締局薬物乱用防止対策部,2022),p6
*2 『2021年版NFLIS-DRAG年次報告書』,p9,表1.1「最も頻繁に確認される25の違法薬物に関する全米および地域別の推計値」
*3 『2021年版NFLIS-DRAG年次報告書』,p4
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