EUとトルコにおける覚醒剤流通状況(2020年)

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 違法薬物及び違法薬物依存症の欧州監視センター(European Monitoring Centre for Drugs and Drug Addiction:EMCDDA)の報告によれば、2020年欧州連合(EU)におけるアンフェタミン(覚醒剤の一種)の押収件数は25,000件で、押収総重量は21.2トンでした(*1)。

 覚醒剤にはアンフェタミンに加えて、メタンフェタミンがあります。効能に関しては、アンフェタミンよりメタンフェタミンの方が強力です(*2)。

 2020年EUにおいて、メタンフェタミンの押収件数は6,000件、押収総重量は2.2トンでした(*1)。特にスロバキアにおいて1.5トンのメタンフェタミン(メキシコ産)が押収されました(*1)。

 アンフェタミンの押収件数及び総重量がともに、メタンフェタミンを上回っていたことから、2020年EU内でアンフェタミンがメタンフェタミンより流通していたことが示唆されます。

 EU加盟国ではないものの、EUと距離的に近いトルコにおける2020年覚醒剤の押収内容も見てみましょう。

 2020年トルコにおけるアンフェタミンの押収総重量は0.7トンでした(*1)。押収件数は参考資料(*1)に記載されていませんでした。押収総重量0.7トンには錠剤型アンフェタミンも含まれています(*1)。トルコでは錠剤型アンフェタミンは「カプタゴン」(captagon)と呼ばれています(*1)。

 一方2020年トルコにおいて、メタンフェタミンの押収件数は34,000件、押収総重量は4.1トンでした(*1)。

 メタンフェタミンの押収総重量が、アンフェタミンを上回っていたことから、2020年トルコでメタンフェタミンがアンフェタミンより流通していたことが示唆されます。

 先述のカプタゴンですが、現在カプタゴンは主にシリアやレバノンの一部(ヒズボラの実効支配地域)で大量に製造されています(*3)。元々カプタゴンはドイツで医薬品として販売されていました(*3)。しかし後に依存性が問題視され、1980年代にカプタゴンの製造及び販売は禁止となりました(*3)。サウジアラビアはカプタゴンの需要が高い地域として知られ、ヨルダンやエジプト経由でカプタゴンがサウジアラビアに密輸されています(*3)。

<引用・参考文献>

*1 『欧州薬物報告(European Drug Report)2022 動向と展開』(薬物及び薬物依存症の欧州監視センター,2022), p30-33

*2 オーストラリア犯罪情報委員会サイト内「違法薬物データレポート(Illicit Drug Data Report)2019–20」(2021), p34

https://www.acic.gov.au/sites/default/files/2021-10/IDDR%202019-20_271021_Full_0.pdf

*3『ニューズウィーク 日本版』2022年1月11日号「サウジの知られざる麻薬問題」(アンチャル・ボーラ),p34-35

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