1990年代ニューヨーク市におけるアルバニア系組織の資金獲得源

  • URLをコピーしました!

 1990年代「ニューヨーク市の裏社会」にアルバニア系若者グループが参入してきました(*1)。1990年代から活動開始したアルバニア系若者グループは詐欺、恐喝、強盗等を主な資金獲得源としました(*1)。

 特にクレジットカード詐欺は、ニューヨーク市のアルバニア系組織にとって「得意分野」の1つでした(*1)。ファイク・ムサ・イストレフィ(Faik Musa Istrefi)のグループは、ニューヨーク州やニュージャージー州のレストラン内で客のクレジットカードから情報を盗み取り、違法収益を上げていました(*1)。実行犯は店のウェイトレスでした(*1)。ファイク・ムサ・イストレフィのグループは、ウェイトレスを「手下」として使っていたのです。日本でも似たような犯罪がありました。日本の場合、店員がカード読み取り機に「別の端末」をつけて、客のクレジットカードを盗み取り、アウトロー組織に情報を売っていました(*2)。アウトロー組織は買い取った情報をもとに偽造クレジットを作製及び利用することで、違法収益を上げていました(*2)。

 また1990年代のニューヨーク市では、いくつかのアルバニア系組織がアメリカ・マフィア(アメリカ合衆国で活動するシチリア系組織)と強固な同盟関係を結んでいました(*1)。関係性はアメリカ・マフィアの方が格上でした(*1)。ゼフ・ムスタファ(Zef Mustafa)のグループは電話詐欺、インターネット詐欺で多額の違法収益を上げました(*1)。しかしゼフ・ムスタファはアメリカ・マフィアの「ガンビーノ(Gambino)・ファミリー」に詐欺の収益を上納していました(*1)。

 一方、1990年以前からニューヨーク市で活動してきた古株のアルバニア系組織はヘロインの密輸を主要資金獲得源としていました(*1)。1970年代のアルバニア系組織は、旧ユーゴスラビア(アルバニア人が多く居住していた国)からロウアー・イースト・サイド(ニューヨーク市マンハッタン区)に少量のヘロインを密輸していました(*1)。

 1970年代のアルバニア系組織によるヘロイン密輸については、ゼブデット・リカ(Xhevdet Lika)らのグループが知られています(*1)。ゼブデット・リカらのグループは、ニューヨーク市のスタテン島(スタテン島区)出身のアルバニア人達で主に構成されていたようです(*1)。

 グループメンバーのスケンダー・フィッツ(Skender Fici)はスタテン島で旅行代理店を営んでいました(*1)。ゼブデット・リカは、スケンダー・フィッツの旅行代理店を使い、旧ユーゴスラビアやトルコに行き、現地でヘロインを購入しました(*1)。またゼブデット・リカらのグループは1970年代後半から、ヘロインの流通ビジネスも始めました(*1)。ゼブデット・リカらのグループの主な卸先(販売先)としては、中国衣料店もしくは他の違法薬物取引業者がありました(*1)。しかし後にゼブデット・リカは逮捕及び起訴され、1985年1月終身刑の判決を受けました(*3)。

 1980年代もニューヨーク市のアルバニア系組織は、バルカン半島からヘロインを密輸していました(*1)。当時アルバニア系組織の強みとして、積極的な暴力行使がありました(*1)。アルバニア系組織の暴力行使に対するハードルの低さは、アメリカ・マフィアから頼もしく思われ、両者は親密になっていきました(*1)。  

 ニューヨーク市のアルバニア系組織が再び違法薬物ビジネスに取り組むようになったのは、2000年代に入ってからでした(*1)。2000年代ニューヨーク市のアルバニア系組織は大麻ビジネスを展開していきました(*1)。アルバニア系組織はカナダから大麻を密輸する一方で、スタテン島、ブルックリン区、クイーンズ区(三つともニューヨーク市内)内で「大麻の栽培工場」を設け、「大麻の自国生産」を図りました(*1)。加えて2000年代からニューヨーク市のアルバニア系組織はコカインを販売するようになりました(*1)。

<引用・参考文献>

*1 『Decoding Albanian Organized Crime Culture,Politics,and Globalization』(Jana Arsovska,2015, University of California Press), p100-103

*2 『中国「黒社会」の掟-チャイナマフィア』(溝口敦、2006年、講談社+α文庫),p10

*3 『Decoding Albanian Organized Crime Culture,Politics,and Globalization』, p241

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次