アルバニア系アウトロー組織のミカジメ料

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 アルバニア系アウトロー組織は母国アルバニアの酒場や店からミカジメ料を定期的に徴収してきました(*1)。人や資産の集積している都市(過密都市)の酒場や店が特に、「徴収対象」となりました(*1)。

 ミカジメ料徴収にあたってアルバニア系組織は概ね「用心棒代」という名目で店側に請求してきました(*1)。つまりアルバニア系組織は、店側に「安全保障」を提供している対価として金銭を受け取っているという理屈の下で、活動してきたのです。しかし実態は、アルバニア系組織が自身の「暴力装置」(暴力行使を厭わない構成員の存在等)を背景に店側を威嚇し、金銭を奪い取っていたに過ぎないのです(*1)。

 アルバニアの社会では昔から「家の主人は客を丁重にもてなさなければならない」という考えがあり、アルバニア系組織はその考えを悪用してきました(*2)。アルバニア系組織は「店側からひどい扱いうけた客」としての立場をとることで、店側を責めたのです(*2)。当然、店側から見れば、アルバニア系組織は「言いがかり」をつけているに過ぎません。

 アルバニア語で用心棒代(英語:protection money)は「ジョーバ」(gjoba)と呼ばれます(*1)。Google翻訳で日本語に直すとgjobaは「大丈夫」という意味になります。

 アルバニア系組織はバルカン半島においては隣国のコソボ、北マケドニア(旧マケドニア)の店からもミカジメ料を徴収してきました(*1)。また西ヨーロッパやアメリカ合衆国でもアルバニア系組織の活動エリアにおいてミカジメ料が徴収されました(*1)。ベルギーではヴィクトル・ホッジャ(Viktor Hoxha)のアルバニア系組織がディスコやクラブからミカジメ料を徴収していました(*1)。アメリカ合衆国においてはレディネル・デルヴィシャジ(Redinel Dervishaj)のアルバニア系組織がニューヨーク市クイーンズ区アストリアのレストランからミカジメ料を徴収していました(*1)。

 アルバニアでは民間セキュリティ会社も「ミカジメ料徴収」と同様の行為をしてきました(*1)。民間セキュリティ会社の主な標的は、ショッピングセンター内の小規模店でした(*1)。小規模店がセキュリティ料を支払えなかった場合、押し込み強盗に入られることがありました(*1)。なおかつショッピングセンター内の民間セキュリティ会社ガードマンは「強盗を見なかった」と言い張ったのです(*1)。つまり民間セキュリティ会社が未払いの小規模店に対し「嫌がらせ目的」で強盗犯を送り込み、ガードマンには「見て見ぬふり」の指示を出したことは想像に難くありません。

<引用・参考文献>

*1 『Decoding Albanian Organized Crime Culture,Politics,and Globalization』(Jana Arsovska,2015, University of California Press), p211-213

*2 『Decoding Albanian Organized Crime Culture,Politics,and Globalization』, p214-215

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