南アフリカとマンドラックス

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 南アフリカでは「マンドラックス」(Mandrax)という違法薬物が流通してきました(*1)。マンドラックスは、「メタカロン」(Methaqualone)という薬物の商品名でした(*1)。

 メタカロンは合成麻薬で、中枢神経抑制薬に分類されます(*1)。メタカロンは1951年に初めて合成され、睡眠障害や不眠症の治療等の目的で使用されてきました(*1)。

 1960年代及び1970年代メタカロンは「クアールード」(Quaalude)、「マンドラックス」(Mandrax)という商品名で一般の医薬品市場でも販売されるようになりました(*1)。しかしメタカロンを嗜好用目的で使う人々が現れ、メタカロンの悪用が社会問題化していきました(*1)。後にメタカロンは「違法薬物」に指定されました(*1)。

 南アフリカの医薬品市場においてメタカロンは「マンドラックス」の商品名で流通しました(*1)。1970年代西ケープ州のケープフラッツ(ケープタウン南東部)では「違法薬物のマンドラックス」が流行し、アウトロー組織の地元定着化に寄与しました(*2)。1970年代ケープフラッツのアウトロー組織はマンドラックスの密売等に関与していたことが推測されます。現在の南アフリカでもマンドラックスは流通しており、2020年9月14日南アフリカの警察当局はクワズール・ナタール州バリート(ダーバンの北)の高級住宅地で推定3.9トンのメタカロン(マンドラックス)の粉を発見しました(*1)。

 南アフリカにおいてマンドラックスは錠剤の形態で流通しており、一般的に経口で摂取されます(*1)。薬効を早く得たい者は、吸煙や注射でマンドラックスを摂取します(*1)。また砕いたマンドラックスと大麻を混ぜて吸煙する方法(通称「ボトルネック」または「ホワイト・パイプ」)も流行っています(*1)。マンドラックスへの依存症は極めて強く、また他の物質と混ぜて摂取すると危険です(*1)。

 メタカロン(マンドラックス)の主原料はアントラニル酸(anthranilic acid)です(*1)。アントラニル酸は主にインドや中国から南アフリカに密輸されています(*1)。特にインドのアウトロー組織は昔から違法薬物やその密造原料を供給してきました(*1)。

<引用・参考文献>

*1 安全保障研究所(Institute for security studies)サイト内「The white pipe keeps burning」(Richard Chelin,2021年1月6日)

https://issafrica.org/iss-today/the-white-pipe-keeps-burning

*2 『Encyclopedia of Gangs』「South African Gangs」(Tony Roshan Samara,2008,Greenwood Press), p224

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