1980年代ニューヨーク州のガソリン不正販売

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 1970年代後半~1980年代のアメリカ合衆国ニューヨーク州においてユダヤ系ロシア人のマラト・バラグーラ率いる組織は「ガソリン不正販売」を資金獲得源の1つとしていました(*1)。マラト・バラグーラは1977年アメリカ合衆国に移住しました(*1)。

 ガソリン不正販売の収益は「ガソリン税の脱税」によってもたらされました(*1)。マラト・バラグーラの組織は支配下のガソリンスタンドに「ガソリン税を上乗せした販売価格」でガソリンを売らせる一方(以上は合法的)、国に対しては販売量分のガソリン税を納めなかったのです(*1)。

 1982年まではガソリンスタンドが客から1ガロンにつき28セントのガソリン税を徴収していました(*1)。「1ガロン」はリットルに直すと、「3.785412リットル」になります。また100セントは1ドルになる為、28セントはドルに直すと「0.28ドル」となります。ガソリン不正販売自体は、1960年代の初めからトルコ人やギリシア人の移民によって行われていました(*1)。

 1980年代ニューヨーク五大ファミリー(シチリア系アウトロー組織)のうち4組織は、マラト・バラグーラの組織らロシア系のガソリン不正販売者に対し、1ガロンあたり2セントの徴収をしていました(*1)。つまりマラト・バラグーラの組織らロシア系のガソリン不正販売者は、シチリア系アウトロー組織に対し、逆らうことは当時できなかったのです。

 日本においては「不正ガソリン」による脱税行為が問題となっています。日本では製油所等からガソリンが出る際に、「揮発油税」がガソリンに課税されています(*2)。その後日本の不正ガソリン販売者は「課税済みガソリン」に対し、密かに灯油やアルコール燃料等を加え、ガソリンの「水増し」をしています(*2)。当然不正ガソリン販売者は「水増し分」の揮発油税を納めることはしません。

 また日本では「不正軽油」による脱税行為も問題となっています。軽油は主にディーゼル車の燃料として用いられ、「軽油引取税」(1リットルあたり32.1円)の課税対象となります(*3)。日本の不正軽油販売者は「課税済み軽油」に対し、密かに灯油や重油等を加え、軽油の「水増し」をしています(*3)。当然不正軽油販売者は「水増し分」の軽油引取税を納めることはしません。

<引用・参考文献>

*1 『レッド・マフィア』(ロバート・I・フリードマン著、中島由華訳、2001年、毎日新聞社), p67-79

*2 国税庁サイト「不正ガソリンに関する情報をお寄せください。」

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/kansetsu/6185/6185.pdf

*3 東京都主税局サイト「不正軽油防止の取組 不正軽油はNO!」

https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/oil/200009f.html

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