2009年イランのヘロイン密輸

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 2009年、推定145トンのヘロインがイランに流入しました(*1)。そのうちの80%(約115トン)はアフガニスタン、20%(約30トン)はパキスタンから入ってきていました(*1)。

 パキスタン-イラン国境においては、両国をまたぐようにして居住する強力な部族や民族(特にバローチ人)、親族がいました(*2)。このような状況は「パキスラン→イランのヘロイン密輸」を容易にさせていました(*2)。また国境地帯に住む者には、ビザなしでの国境超えが許されていました(*2)。

 また同年1,000~1,100トンのアフガニスタン産アヘンもイランに流入したと推測されました(*2)。イランへの流入量(重量)では、アヘンがヘロインを上回っていたことになります。生アヘンはプラスチック袋に収納されれば、長期間保存ができました(*3)。一方ヘロインの場合、例えば純正ブラウン・ヘロインの賞味期限は約2年でした(*3)。

 アヘンからはモルヒネが作られます(*4)。そしてモルヒネの精製により、ヘロインが作られます(*4)。

 2009年の世界では1,200~1,300万人のヘロイン使用者がおり、375トンの純正(純度70%)ヘロインが摂取されたと、推定されました (*5)。一方、同時期においてアヘンは300~400万人の使用者がおり、1.3トン摂取されたと、推定されました (*5)。需要においてはヘロインの方がアヘンを上回っていました。

 おそらくイランに流入した1,000~1,100トンのアフガニスタン産アヘンの多くは、後にヘロインに精製されたと考えられます。ゆえに長期間保存可能なアヘンの形態での輸送が好まれていたことが推測されます。

 2009年イランに流入した推定145トンのヘロインの話に戻します。

 ヘロイン145トンのうち16トンはイラン国内で消費され、23トンはイラン国内で押収されました(*1)。国内消費率は約11%、国内押収率は約16%だったことが分かります。2009年時イランの末端市場(小売市場)において1gあたりのヘロインは3米ドルで密売されていました(*2)。

 残りのヘロインの多くは、「バルカンルート」にて、最終的に西ヨーロッパや中央ヨーロッパに向かいました(*1)。

 ヘロイン145トンのうち82トンはトルコ(トルコ系及びクルド人系密売業者)に転売されました(*2) (*6)。イランに流入したヘロインの約57%がトルコに向かったことになります。2009年時イラン側はアフガニスタンやパキスタンの業者から純正ヘロインを1kgあたり5,000米ドルで仕入れ、トルコ側の業者には9,000米ドルで密売していました(*2)。

 イラン-トルコ国境では、公式及び非公式において、国境超えの方法が多数ありました(*6)。また両国の国境地帯にはクルド人が住んでおり、一部はアウトロー組織化していました (*6)。国境地帯のクルド人系アウトロー組織が、イランからトルコへのヘロイン密輸において重要な役割を担っていました(*6)。

 またヘロイン145トンのうち6トンはアフリカ諸国、3トンはコーカサス諸国に転売されました(*6)。

 イランのバンダレ・アッバース(ホルモズガーン州)の港は大規模であり、日々コンテナ船が多く入港していました(*7)。ゆえにバンダレ・アッバースの港は、ヘロイン密輸に脆弱であると考えられていました(*7)。

<引用・参考文献>

*1 「The Global Afghan Opium Trade:A Threat Assessment」(United Nations Office on Drugs and Crime,2011),p39

https://www.unodc.org/documents/data-and-analysis/Studies/Global_Afghan_Opium_Trade_2011-web.pdf

*2 「The Global Afghan Opium Trade:A Threat Assessment」, p40

*3 「The Global Afghan Opium Trade:A Threat Assessment」, p28

*4 『<麻薬>のすべて』(船山信次、2019年、講談社現代新書),p89-90

*5 「The Global Afghan Opium Trade:A Threat Assessment」, p16

*6 「The Global Afghan Opium Trade:A Threat Assessment」, p41

*7 「The Global Afghan Opium Trade:A Threat Assessment」, p43

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